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腫瘍免疫を臨床の視点より研究する塩野義製薬との共同研究講座です。

TEL. 06-6210-8413

〒565-0871 大阪府吹田市山田丘2−2(0803B)

講座の方針CONCEPT

方針

腫瘍免疫を臨床の視点より研究する、塩野義製薬との共同研究講座です。他方、がん免疫療法の最先端を臨床の場で実践中です。


メッセージ

 代表の和田 尚です。

 臨床腫瘍免疫学教室は、塩野義製薬との共同研究講座として、消化器外科・森教授、土岐教授と免疫学フロンティア研究所実験免疫学・坂口志文教授が世話人となり開設されました。私以下、特任講師1名、特任助教1名に塩野義製薬よりの招へい教員2名、研究員1名を加え運営され、最終的に創薬シーズを創出することを目的としています。特に臨床的観点よりの研究を推進するため、消化器外科・産婦人科・泌尿器科・呼吸器アレルギー内科・小児外科よりスタッフおよび研究員を受け入れ、同時に創設された基礎腫瘍免疫学共同研究講座とともに研究を進めるという、非常にユニークな教室です。
 私は、1985年大阪大学医学部卒業後、第二外科(現・消化器外科)に入局しました。研修後に学位の仕事として岡山大学免疫学教室助手としてマウス腫瘍免疫の研究を行ったことが現在の私の基礎となっています。その後、ラドウィック癌研究所(LICR)CEOロイド・オールド先生の下、NYメモリアル病院研究所にてヒト腫瘍抗原の研究を始めたところ、腫瘍抗原NY-ESO-1の同定に参加することができ、臨床腫瘍免疫学へと足を踏み入れることになったのです。
 帰国後は消化器外科教室において種々の癌種でNY-ESO-1の解析を再開、2004年CHP-NY-ESO-1癌ワクチン臨床試験の参加症例1例目の劇的な腫瘍縮小効果に遭遇する事になります。その後もLICRよりGMPグレードのNY-ESO-1試薬の連続的な無償提供を受け、10種類ほどの癌ワクチン臨床試験を消化器外科にて実施、参加症例は100例を優に超えます。全症例において基礎解析を行い、その結果を加え、臨床的基礎的報告を多数行っています。
 これらがんワクチン臨床試験では、投与によりある程度の有効症例を観察はするものの十分ではなく、末梢血を用いたモニタリング結果では一定の結論が出ませんでした。腫瘍免疫反応の起こっている最前線である腫瘍組織内の免疫応答を解析する必要性を痛感するとともに、免疫抑制系因子の解析にも着手するようになりました。その関係から制御性T細胞発見で有名な大阪大学・免疫学フロンティアーセンターの坂口志文教授の支援を得ることとなり、新教室設立のお世話もいただいています。新鮮腫瘍組織内の制御性T細胞の頻度を測定するとともに、その機能解析をも可能とし現在の研究に活用しています。
 免疫チェックポイント分子であるCTLA4に対する抗体が世界で初めて進行悪性黒色腫患者の生存率を延長させたという報告が2010年NEJMに掲載されました。以来、種々の免疫チェックポイントをはじめ制御性T細胞などの抑制性因子を制御することで抗原非特異的免疫を賦活することが世界の腫瘍免疫療法の主流となって来ています。その流れの中、私たちは抗CCR4抗体を用い制御性T細胞を特異的に抑制することで抗腫瘍効果を期待する医師主導治験を始めています。さらに、食道がん・胃がん・肝がんをはじめとする消化器がんを対象とした抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体投与の企業主導治験にも参加しています。これら試験でも腫瘍組織内免疫担当細胞の解析を可能な限り追求していて、様々な癌種を扱えることから、消化器外科の枠にとらわれず幅広く種々の既存の治療法においても、同様に免疫最前線である腫瘍組織内の免疫関連因子を扱いその機能解析を行っています。当然ながらシーズを追求することで、幸運にもフルーツまで手に入れば、教室・大学の枠を超えて、皆様のお役にたてると信じています。
 そんな中で新たに同定したのが、腫瘍組織内の制御性T細胞に特異的に発現しているCCR8です。以前から制御性T細胞のマーカーとしての報告はありましたが、新たな創薬の標的としてCCR8をシオノギと共同で研究を進め、臨床試験を実施するところまでやってきました。その成果が楽しみです。

 


教室沿革

2014年4月
最先端医療イノベーションセンター開所。
2014年4月
臨床腫瘍免疫学共同研究講座設立。
2014年4月
和田特任教授、森本特任助教着任。
2014年7月
河嶋特任助教着任。
2014年9月
岩堀特任助教着任。
2014年 9月
水島特任准教授着任。
2015年 1月
水島先生、炎症性腸疾患治療学寄附講座 特任教授へ。
2016年 1月
岩堀特任講師に昇任。
2016年 5月
河嶋特任助教、転出
2020年 6月
森本特任助教、転出

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