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腫瘍免疫を臨床の視点より研究する塩野義製薬との共同研究講座です。

TEL. 06-6210-8413

〒565-0871 大阪府吹田市山田丘2−2(0803B)

研究内容RESEARCH PROJECT

腫瘍免疫の増強のためあらゆる経路を見つめます。

 がん(腫瘍)に立ち向かう主役は細胞傷害性T細胞(キラーT細胞、キラーリンパ球、CTL)です。正常なヒトの体の中ではこの道筋を強める働きと弱める働きがあり、免疫のバランスを取ろうとしています。しかしがんは、自分に向かってくる免疫の力を弱めるために、この弱める力を利用して保身を図っています。
 免疫でがんを治すためには、
1.細胞傷害性T細胞(キラーT細胞、キラーリンパ球、CTL)がヒトの体の中で働けるようにします。がんワクチンなどはこのために行います。
2.次に、これら細胞の働きを強めてあげます。
3.最後に、妨げている働きを取り除きます。

 実際にヒトの体の中でこれら免疫の働きがどうなっているのでしょうか。上に述べましたように、腫瘍免疫というのは複雑な縦糸と横糸によって織り上げられた繊細な模様の織物です。これら縦糸・横糸をほぐして、細かく観察していこうというのが私たちの教室のモットーです。そしてその先に私たちが見つめるものとして、細かな免疫の因子個々を探る結果としてこれら因子の織りなす織物の模様を予測することの可能性、さらには新たな斬新な模様を作り出すことの可能性があります。

細胞の解析をしています。

 免疫に関係する様々な細胞の詳しい解析をしています。右の写真は、最低で約1万個の細胞があれば一度の検査で14項目の細胞の目印を検出できる機械です。
 主に患者さんの血液を頂いて研究しています。
 

腫瘍免疫反応の最前線は腫瘍組織の中。

 消化器外科・泌尿器科・婦人科では手術などでがんの組織を切除することが多いのは御存じでしょう。検査をした残りのがんを研究室で取り出し、その中にいる免疫に関連する細胞を観察をしています。
 免疫にかかわる細胞はがん組織の中でがん細胞と敵対します。ですから、免疫反応の起こる最前線はがん組織の中なのです。

最新の免疫療法とは?

 私たちも、様々ながんワクチンや樹状細胞(DC細胞)の利用、PolyICなどの免疫賦活剤を使って、免疫療法を行ってきました。
 しかし、ここ4-5年になって、免疫を抑える経路、つまりがん細胞自身が生き延びるための保身を図る経路を、ブロックしてやる治療法がいろいろ開発されてきました。そして、がんを小さくする効果がとても強いことが分かってきました。この目的となる物質は、PD-1、CTLA-4、PD-L1、CCR4などがあり、それぞれの物質に対する抗体薬を使った臨床治験を各種行っています。
 このために、消化器外科や消化器癌先進化学療法開発学寄附講座と協力して、様々な努力を積み重ねています。
 そして、このような抗体薬を投与した患者さんの血液やがん組織を使って、やはり免疫に関係する細胞を調べています。

制御性T細胞を標的とする免疫療法

 制御性T細胞はやはり腫瘍免疫を抑制しています。研究室では、その細胞の働きを抑えると、癌をやっつける免疫が生き生きと働きだします。しかしそのためのいい薬がありませんでした。
 私たちはCCR8という分子が腫瘍組織の中の強い抑制作用を持つ制御性T細胞に特に強く発現していることを見出しました。ほかの細胞にはほとんど出ていません。
 CCR8を発現する細胞を殺す薬を作れば、がん免疫療法となります。そこで塩野義製薬と共同で抗CCR8抗体医薬を開発中です!
 臨床試験実施中です。

細胞以外の免疫に関する因子を調べています。

 サイトカインや抗体、そのほかの因子も調べています。

バナースペース

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